ツォウ(鄒族)

 ツォウ(鄒族、曹族)は、南投県、嘉義県、高雄県に6千4百人が散在している。ツォウは南ツォウと北ツォウに分類され、南ツォウは「カナカナブ」群と「サアロア」群、北ツォウは阿里山中腹に住む「阿里山ツォウ」にわかれる。これまで、研究は北ツォウが中心になってきた。北ツォウは現在8村落が存在し、来吉村、里佳、楽野はトフヤ(特富野)社に、新美、茶山、山美はタッパン(達邦)社に属している。サアロア群の多い高雄県三民郷が陳水扁総統と原住民族が結んだ新パートナー関係協定に基づいて2008年1月からナマシア郷(「那瑪夏郷」)に改名したことから、今後民族認定を求めるグループがツォウからでてくるだろうとの予測がある。今回の名称変更は、原住民族の集落および山川の伝統的地名を回復する協約の項目にもとづいたものだが、ナマシアとはツォウ語で「楠梓仙渓」の意味であり、「楠梓仙」はブヌン語の発音では「明日はもっとよくなる」との意味があるという。

 ツォウ社会は、クバと称される男子集会所を中心とした厳格な父系社会である。各氏族の長老によって村落全体の問題を解決する合議制が採用され、頭目が実務を担当する社会構造となっている。「阿里山的姑娘」という歌が示すように、美男美女ぞろいとのイメージが強い。男性は雉の羽がかざられた皮の帽子、皮ズボンという勇壮な姿。女性も細やかな図柄を刺繍した胸当てなどを着用し、両性とも赤色を基調とした衣装を身につける。粟をまくミヤポ、粟の収穫祭のホメヤヤのほか、トフヤかタッパンのクバで2月か8月に交互におこなわれる男性の成年加入式と戦闘の神をたたえるマヤスビなどの祭祀が知られる。

文責:山本芳美