タロコのアーティスト、東冬侯温、以文社の 「マルチスピーシーズとアートの未来/四方幸子(聞き手=奥野克巳)」に

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「大小島真木、大山龍、トントン・ホウウェン」の節で、紹介されています。その部分だけ抜き出しますが、全文は上のURLでご覧ください。

四方:3人目は、トントン・ホウウェン(東冬侯温)さんです。彼は台湾の先住民のタロコ族(太魯閣族)のシャーマンの家系生まれで、トランスジェンダーのシャーマンでありアーティストでもあります。タロコ族のシャーマンは5種類の儀式を行うそうですが、そのうちの医療の儀式と夢の魔女の儀式を行うとのことでした。おばあさんがシャーマンだったそうです。映像と音楽、歌、詩、パフォーマンスなどを手がけながら、タロコ族のアーティストやクリエイターの作品を扱うショップのプロデュースもしています。最近は地元の中心人物として、アートフェスティバルのオーガナイズも始め、並行して大学院でジェンダー・スタディーズを学んでいます。私は7年前にお会いしたのですが、いずれキュレーションをしたいと思っています。一昨年末、彼の村に大山さんや「Forking PiraGene」の共同キュレーター、シュー・リー・チェンたちと訪れ、お世話になりました。ちなみに私が首飾りにしているこの緑色の輪は、実はタロコ族の男性が狩猟の際に着ける伝統的な指輪で、トントンさんがはめていたものと同じです。大きいので、チェーンを付けて使っています。

 タロコ族の住む山の近くにはヒスイが採れる谷があるのですが、山川とヒスイと人々が一体化していることを感じました。トントンさんに、現地で見つけた石を持って帰っていいかと聞いたら、祈りを捧げて、山や石に対して聞いてくれたんです。「この人が持って帰りたいと言っているが、いいかな」と。少ししたら「うん、いいよ。持って帰って」と言ってくれた(笑)。

 人と石などの自然が一体化している、自然が身体の一部なのだなとも思いました。山や川などの自然と人々とは切り離せない関係であり、精神的にも結びついているのではないか。トントンさんの作品やパフォーマンスからもそのようなことを感じます。

トントン・ホウウェン(東冬侯温)、パフォーマンス《Forest wandering, Hagay dreaming》(2020)
「PHYTOPIA」プロジェクト、「Lab Kill Lab」、台北C-LAB。蓮から山に入ったタロコ族の住む土地の自然との交歓を表現したパフォーマンス。←写真が掲載されています。